ないで

マイ・ニューヨーク・ダイアリーのないでのレビュー・感想・評価

4.0
原作はジョアンナ・ラコフのMy Salinger Year
Eテレに彼女が出ていて、サリンジャー宛のファンレターにひたすら目を通す日々について語っていたので、こちらの映画を観てみたくなりました。文芸エージェントに勤める作家志望の女性が、顧客であった伝説の作家の姿を垣間見る話。

彼女の内省的な成長譚がメインですが、顧客としてジュディ・ブルームが訪ねてきたり、『ハプワース16』の出版計画を取り次いだりといった文学史上のイベントが描かれているのが熱い!

後にジュディ・ブルームはカムバックするし、サリンジャーの出版計画は頓挫してしまうのですが、あくまで自分が目撃した部分のみを描いているところが、彼女が作家から信頼された「誠実さ」なのかなと思います。原作は未読なので本当のところは分かりませんが。

サリンジャーの新刊を出したかった出版社のおじさんは本当に素朴ないい人そうで、二人の邂逅には詩的な美しさがありました。ゴシップから隔ててエピソードを残すには、こういう形で良かったのかもとも感じました。
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