藍住

ペルシャン・レッスン 戦場の教室の藍住のレビュー・感想・評価

5.0
ジルとコッホ大尉の間に芽生える奇妙な絆。
それをエモーショナルなものとして描くのではなく「彼らは対等な関係ではないし、ジルは迫害される人間でコッホ大尉は迫害する人間なのだ」という姿勢を貫き通したところが良かった。
ラストは嗚咽した。

命の選別をするコッホ大尉が酔って自分を曝け出して思わずジルの頭を撫でようとした(肩を叩こうとしただっけ?)シーンが本当に凄かったな……。
このシーンのコッホ大尉の矛盾した行動に結構動揺してしまった。
彼はナチスの制服を着て毎日平気な顔して命を奪うけど、蓋を開ければ未来を夢見る「普通」の人間で。
そんな矛盾した彼を生み出したのは、些細なきっかけでナチ党に入党したことが始まりだったというのが非常にキツかった。
それは誰にでも起こりうることだから。
戦争は絶対に起こってはならないが、そもそも戦争を起こすのは社会で、間違っていることに対してどれだけ立ち向かえるか、手を挙げて闘えるか。
そこに尽きると思う。

コッホ大尉は目を輝かせて夢があるんだって言ったよね。
貴方が殺した人達だって夢はあったんだよ。
明日を生きたかったんだよ。
藍住

藍住