ゆず塩

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ:ナチに捕まったユダヤ人の青年が、ペルシャ人と偽った事から収容所の大尉にペルシャ語を教えることになる話。青年は、架空のペルシャ語を作り、大尉に教え始める。】

バレるかどうか、ハラハラしながら見る映画なんだけど、そこまで緊迫した状況にはならなかったかな?
そう言う演出が少ないと言うか。

ネタ的にはすごく面白かったから見に行ったわけですが。
言語的なお遊びは少ないかな?
それって何、って聞かれると困るけど。……ラストの関係上、偽ペルシャ語の作り方がキモなのは分かる。
でも、主人公の記憶力の良さが疑問に感じたり。
あの人なんなのって人がチラホラいたり、散漫としてる印象もあるかも。

【テーマ:極悪人も普通の人である】
主人公と言うより、ナチスに入っている兵士達のアレやコレやがテーマなのかな、と。
悪人として描きつつも、現代人と代わりない人たちというか。
何となく従ってたり、恋をしたり、人を憎んだり。
普通というか、俗物的な人達。

【好きな点】
冒頭の収容所に連れてかれている途中に射殺されそうになる主人公。
一人、先に倒れて被弾せずに済む。
冒頭からどうなっちゃうの?
って感じが良かった。

ペルシャ語を話せる人が来た時とか、「どうなっちゃうの!?」ってなった時、その前に主人公が助けた人が助けてくれたり。

「どうこのピンチ切り抜ける!?」と言うのは結構描いてたなー、と。
でも、すごくハラハラした印象もなく。もう一歩ピンチになっても良かったのかも?「助かったと思ったら助かって無い!まだこっからどうなるの!?」と言うぐらい追い込んで欲しいのかな。そう言うエンタメ映画じゃ無いか。

ペルシャ人か疑われた時、うわ言で偽ペルシャ語を言うと言うのは良いアイデアと感じた。
偽ペルシャ語で「助けてお母さん」とか言ってたら信じちゃいそう。

最後戦地に送られるナチの女性兵士の扱いが、ダメな人なんだけど女性ってのがなんか良かった。男性だと既視感強くなったかなぁって。女性を馬鹿にしてるわけではなく。良いキャラに見えた。と言うか、あの女性兵士が一番好きかも。

【その他】
最後まで主人公は、ナチスの誰とも友人にならなかったな。
『大尉と仲良くなって、そこから正体がバレて。それで殺すか殺さないか!?』
みたいな展開はなく。
大尉が最後の最後まで主人公をペルシャ人と信じていたのが……。
『ナチスに入って平然としているやつはみんな悪だ!』
と言う、制作陣の強い意志を感じる。
まぁ、そうなんだろうけど。
そう考えると、『ジョジョラビット』大佐とかも……。

ナチスの人達もただの人間である。と言うのがこの映画の悲しいところかなぁ。
大尉のラストは、なんか、哀れでありつつ、悲しい。
大尉は一方的に友情を感じていたのだろうけど、最後にそれが偽物だったと気づいたわけで。
そりゃそうなんだけどー、もどかしい。
でもきっと、大尉が主人公の正体知ってたら殺してたものな。

内面的な心の交流があまりなかったのだけ物足りなさを感じたかな。
大尉の一方的な友情以外は、理屈で説明がつく行動ばかりのように感じた。
主人公が基本、命の危機に晒されてるから仕方無いんだけど。
人間関係がシビアと言うか容赦なかったな。

ナチの若い男性兵士のマックス?
主人公絶対殺すマンみたいなやつは、なんで主人公を必死で殺そうとしてたんだろ。
主人公連れてきたのアンタだし、肉缶貰ったじゃん?
どっか見落としてるのかな?
ゆず塩

ゆず塩