ロクシ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のロクシのレビュー・感想・評価

4.0
これは…😰

ユダヤ人女性が生きるためにSS将校に気に入られるシナリオは割とよくありそうなのですが、主人公は男性なので、二人の関係がすごく新鮮、かつ複雑で、なんとも言えない気持ちになりました。

最初の方は、ユダヤ人とナチス将校がこっそり仲良くなる話なのかな?と思ったら、がっつりホロコーストもの。
虐待、銃殺、焼却炉に運ばれる山積みの遺体

ドイツはナチスを悪く描くのが本当に上手い😭

主人公のジルは偽のペルシャ語を作るために、囚人名簿から単語を創作していく。
まず「私」は自分の名前Jillからill、「あなた」は大尉の名前クラウスからアウス。

クラウスはイランでレストランを開くという夢を叶えてくれるジルに、どんどん心を開いていく。
ジルは生き延びるためにクラウスの前では良き友人の様に振る舞うものの、無惨に殺されていくユダヤ人たち見て、自分だけ生き残る罪悪感を感じて葛藤する。

途中からもう死んでもいいと思い始めているのに、クラウスから何度も自分だけ助け出されてしまう😭
とうとうジルがお前らは殺人集団だと本音を吐いても、クラウスはもう怒りもしない。
この頃には完全にクラウスからジルへ片思い…💔

というか、イタリア人兄弟のお兄ちゃんがジルを助けたせいで殺されて落ち込んでいる時に、クラウスはジルに何か機嫌悪い?と能天気に頭を撫でようとしてくるんだよね…
しかもジルを最後の最後まで見捨てなかったから、友情以上の感情があったのではと邪推してしまうな…🙄
「何があってもお前を守ると賭けたから」

場所が収容所じゃなかったら、ただの真面目でピュアな人なんだよなー

虫ケラみたいに働かされ殺される収容者と、能天気にピクニックやくだらない社内恋愛をするナチスたちが同じ場所で対比的に描かれるのが印象深く、余計に狂気を感じた。
クラウスはジルを"こっち側"の人間だと思い、友達でいてほしいと思ってる。

ジルからすれば平気で市民を虐殺して何も感じないクラウスたちは、憎悪の対象でしかない。

クラウスに生かされたことによって、囚人名簿が焼かれても、クラウスのために考えた単語の数2840?だけ、ジルの頭には消されたユダヤ人達の名前が残った
泣きながら名前をそらんじるシーン、辛い😭

表現し辛いぐちゃぐちゃな気持ちを残してくれたので、間違いなく名作です。
ロクシ

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