クリーム

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のクリームのレビュー・感想・評価

3.9
小説や実話を基に集積されたストーリー。似たような話はあった様ですが、フィクション。年代、背景、ナチスの非道な行為をそのままに描かき、リアリティのある作品になっています。偽のペルシャ語レッスンで生き延びると言う驚きの発想は、常にハラハラし、見応えがありました。

ナチスに捕まったユダヤ人青年ジルは、処刑される寸前にペルシャ人だと嘘をつき一命を取り留めた。彼は、テヘランで料理店を開く夢を持つコッホ大尉からペルシャ語を教えるよう命じられ、咄嗟にデタラメの単語を披露し信用させた。こうして、ペルシャ語レッスンが始まった。ジルはいつまで嘘をつき通し、生き延びる事が出来るのか…。



ネタバレ↓



嘘とバレれば即死。しかし、1日40単語を教えろと言うコッホ大尉。優秀な彼を騙すには、自分も全て偽のペルシャ語を覚えていなければならなかった。
ジルは、大尉に気に入られ名簿作成をする事となります。そこで、収容所へやって来たユダヤ人達の名簿の名前と偽ペルシャ語を紐付け記憶した。
彼と最初に会った若い警備兵マックスはジルをユダヤ人だと決めつけ敵意剥き出しで正体を暴こうとします。またマックスの彼女は、ジルに名簿作成の仕事を奪われ、この女もマックスを焚き付けます。
一度、大尉にバレそうになり、ボコボコにされたジルでしたが、偽ペルシャ語を覚える為、自分を追い込み、寝言まで偽ペルシャ語だった事で、それを聞いた大尉は、やはり本物だと確信し、そこからジルを守る様になります。
ジルは特別待遇な自分に自己嫌悪を覚え、知的障害のある男に変わり、ポーランドへの移送の列に並びますが、大尉に見つかり連れ戻された。
敗戦が迫り、収容所内の囚人を殺害し、収容所から撤退する令が出されます。
大尉は強引にジルを連れ、収容所を脱出します。
そして、大尉はテヘランへ。ジルを解放、 連合軍に保護されたジルは、2840人の姓と名前を暗記していると言い、彼らの名前を伝えて行きます。
一方、テヘランに向かった大尉は、偽ペルシャ語が通じず、取り押さえられました。

ペルシャ語を作りだし、大尉にバレずに気に入られるなんて、そんな馬鹿な話はないと思うのですが、名前と紐付け覚える等、ありそうな気もする微妙なラインが秀逸でした。警備兵マックスと彼女がクズでイライラするも2人とも制裁を受けスッキリ。また、ラストに助かり亡くなったユダヤ人の名前を1人1人上げていくジル。フィクションなのにこのシーンの重みがズシリとくる、良い作品だったと思います。
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