幌舞さば緒

ペルシャン・レッスン 戦場の教室の幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ユダヤ人の主人公ジルが処刑を逃れるためにペルシャ人を偽り、ナチス親衛隊のコッホ大尉(鬼)相手にデタラメのペルシャ語を教える話なんだけど…シリアスな内容で常に死と隣り合わせでめちゃめちゃ恐ろしく終始張り詰めた空気なんだけど…ジルとコッホ大尉がお送りする2時間コントとしても観れるので、めちゃおもしろい。


台詞メモ

「入れ」「コッホ大尉、入室しても?」「何を躊躇してる?〝入れ〟と言ったはずだ」

「ユダヤ人じゃないです!」「ひざまずけ!」「ペルシャ人です!」「観念しろ」「奴は何て?」「ペルシャ人だとさ」「マックス、撃つな」「なぜ殺さない?」「大尉が〝ペルシャ人を探せ。褒美を出す〟と」「もし嘘だったら?」「偶然の遭遇だよ」「出任せを言いやがって。どうせ嘘だろ?」「誓います。ユダヤ人じゃありません。ペルシャ人の証拠です」「何だ?」「どうか…」「お前のか?」「はい」「一緒に来い」「嘘ならお前の責任だぞ」「ああ、いいよ」

「この40語を教えろ」「40語も?1日に4語かと」「いや、40語だ。早く上達したい。何か問題でも?」「39語しかありません」「そんなことか?足せばいい」「何にします?」「何でもいい。〝真実〟にしよう」「ご記入を」「終業後、執務室に来て訳語を教えろ」「分かりました、大尉殿。鉛筆を借りても?」「ダメだ。お前が言い、私が書く」

「知らない言語で40語も創作せねば」「何語だ?」「ファールシー」「それは何だ?」「ペルシャ語。創作は容易だが記憶が大変だ。不可能だよ。毎日増えていく。膨大な数に」

「パンの追加を。〝木〟はペルシャ語で何と言うのか?」「〝ラージ〟」「何だと?」「〝ラージ〟木は〝ラージ〟です」「汚い嘘つきめ。〝ラージ〟は〝パン〟だろ?嘘だったのか…この豚野郎!」「ドイツ語の〝Schloss(宮殿・錠前)〟のように同じです」「嘘を重ねるのはよせ。信用したのに欺いたな。目的は何だ?他のユダヤ人と一緒に私を笑うためか?〝恥をかかせるな〟と言っただろ」

「何を呻いてる?」「きっと奴の母語です。毎晩唱えてますので」「私に何を聞けと?」「意味が分かりますか?」「イルオラアハン…アンタイルオラアハン」「母さん、家に帰りたい〟と」「やはりペルシャ人ですね」「医務室に運ぶんだ。来い」

「かなりやられたな。うわごとを言っていた」「ここは?」「兵士用の医務室だ。コッホの指示で。お前のうわごとはいったい何語かね?」「ペルシャ語。でも本物じゃない」「何?」「僕の創作です」「意味づけをして作ってるのか?」「出任せです。自分が何を言ってるか本当に分からない」「コッホに〝不明なことを言い錯乱してる〟と伝えた」「血管への空気注射による安楽死を私は提案したが、彼は同意せず食事を与えさせた。奇異な人だ」

★「いくつ覚えましたか?」「およそ…1500語だ」「では会話を」「〝お名前は?〟」「〝イルクラウス・コッホ〟」「グッド」

「私に何を怒ってる?同郷人の死は無関係だ」「疲れただけ」「疲れた?何に?」「不安に」「私に仕える限り不安はない。なんなら肉の缶詰20個を賭けてお前の安全を守るよ」「死んだら食べられない。残念だな」

「代わりに誰が残った?」「別の囚人です」「食べ物をあげた奴?」「はい」「どういう関係だ?」「何もない。発話障害の青年だ」「そいつのために命を捧げるのか?名もなき集団の1人として死にゆくのだぞ」「名もなき彼らの命のほうがあなた方より尊いよ。殺人隊じゃないから」「私は殺さない」「同じだ。実行者に美食を与えてる」

「どこへ?」「10キロ先に空港がある。イスタンブールを経由し、テヘランへ飛ぶ」「なぜ僕も逃した?」「〝缶詰を賭けて守る〟って…約束しただろ。〝良き人生を〟」

「何だって?」「ドイツ人の風貌」「ドイツ人?」「そうかも。取り調べの対象だ」「〝私はマルセル・ガロン。兄のところに行きます。私はレストランを開くために来ました。分かります?〟」「こっちへ来い」「〝なぜ分からんのだ!〟」

「君がいた間にその収容所で去っていった囚人の数は?」「およそ…2万5千から3万人」「覚えている名前はあるか?何人かの名前を挙げられるか?」「収容所にある名簿を見てください」「克明に記録されています」「残念ながらその名簿はもうない。収容所の書類はナチスが解放直前に全て焼却した。覚えている名前は?」「はい…あります。言える名前の数は…2840です」「2840人の?」「はい」「2840人の姓と名を記憶しています」
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