kyoko

GUNDA/グンダのkyokoのレビュー・感想・評価

GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)
-
ナレーション無し、劇伴無し。
モノクロで映し出される世界は静謐なようでいて、あらゆる生の音で埋め尽くされている。

子ブタって生まれた直後からあんなふうに動き回っちゃうのね。そりゃ行方が分からなくなる子も出てくるわけだ。
ときに痛々しいまでに耳をつんざくキーキー声だけど、乳首争奪戦の必死な声にはもう笑うしかない。
ほんの赤ん坊のときは、乳首をめぐって暴れまくる子らを諫めるかのようにグンダ母が立ち上がって振り落とすこともできたけど、結構な大きさになっても乳首に対する執着がおさまらない彼らをコントロールすることは巨大なグンダ母をもってしても困難。さんざん踏まれまくってようやく解放されたあくび連発の彼女には「おつかれさまです」以外にかける言葉が見つからなかった。

生まれた直後アクシデントに見舞われた子は、最初はハンデがあるように見えたけど、兄弟たちと同じように大きくなったのか、ならなかったのか……
気になったまま迎えた想定内のラスト。子らを呼びながらふいに「己とわが子以外の存在」に気づいたかのようにこちらを見たグンダの視線を、感傷的になる資格無しの私はただただ受け止める。


子ブタ、ほぼ子犬。
鶏、ほぼ恐竜。
牛の知恵、あなどれない。
kyoko

kyoko