Few

GUNDA/グンダのFewのネタバレレビュー・内容・結末

GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

貪るように乳を吸うから母豚は乳首が痛そうだなぁ。生まれたてで何も知らなくても乳が必要かってことはわかるんだなぁ。赤子でも必要なことを知ってると親も知ってるからこそ動物の母子関係で過保護って概念があまりないのかなぁ。

などと、動物の世界について考えているうちに、まあ私はこの豚やら鶏やらをおいしく食べているなと思い出す。これの繰り返し。『いのちの食べ方』を観た後に「いただきますを形式化したくない」と言っていたが、この映画を観て、その感想すら忘れたことなんて山ほどあったなと考える。

教訓を感じる映画ではないけど、「他の命に生かされている人間」という大前提をなぜ忘れてしまうのか、あるいは忘れやすいのか。
たぶんだけど、やってられないんだと思う。食べ物の全てに殺めたり切断したりふる過程、そして低賃金長時間労働で何かをつくる人々の労苦があることを毎秒考えると、消費する側の幸福が成り立たない。手放しに美味しいと思って食べられない。「いただきます」は私は必ず言うのだけれど、あれは自分の生のために払われたいくつかの犠牲に対する敬意でもあるが、敬意を払ったよというポーズによって、自分が担わない苦味を手早く葬ってるんだと思った。

でも私は母豚に同情はしない。母豚も子豚も、豚を連れて行った人も自分も、それぞれ、そうやって生きて死ぬなあと理解しておくことにする。
とは言っても、たまにでも良いからあの母豚の眼差しを思い出せるか否かは、自分自身の存在を腹底から奮い立たせるだけの灯火になる。
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