めちゃくちゃ最高でした。
文字通り極小の物語と要素だけで、人生をまざまざと見たような気がするのは何故だろう。ひと夏の、吹けば飛んで消えるような恋の燃える様に、その小さな煌めきに、こんなにも胸おどるのは何故だろう。その傍らにひっそりと佇む、ささやかな友情の美しいことよ。
ギョーム・ブラック監督作品としては、長編一作目『女っ気なし』にもっとも近いと思われるバカンス映画。あっちが海なら、こっちは山バカンス。相変わらずブラック監督はチャリがお好き。山頂を目指すサイクリング競争もベタベタのコメディシークエンスでありながら、言い知れぬ高揚感がある。永遠への絶望的な距離と渇望の狭間、突然降りしきる通り雨のような幸運の中に、本当の祝祭がある。