TaiRa

みんなのヴァカンスのTaiRaのレビュー・感想・評価

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)
5.0
ギヨームの映画観てると非モテの境遇はどの国でも同じってのがよく分かる。

『女っ気なし』も「非モテとヴァカンス」の物語だったなと思いつつ、今回の方が軽くて爽やか。とりあえず友だちはいるから。ボンクラな男たちの旅行記に同行した気分にさせるあるある展開と、ゆるい観光要素の掛け合わせが最高にチルい。グレッグ・モットーラ好きなギヨーム・ブラックの素質が一番出てる作品。3人のどうしようもなさと可愛さが終始良い。基本的に出て来る人みんなどうしようもない。男は男で、女は女で、それぞれダメなとこばっか。完全無欠は赤ちゃんくらい。ヴァカンス先の小さないざこざだけでも映画は面白いし、これで充分と思わせる。芝居と台詞の細かさで笑わせるのも楽しかった。エドゥアールが寝る時にマウスピースしてるのバレないように何度もつけ直すくだりのしょうもさよ。サイクリングが段々とレースになっていく古典的なギャグとか、ああいうのもバカバカしくて好き。喧嘩し慣れてないから取っ組み合いで怪我させちゃうとか、みっともなさが豊か。カラオケで「愛しのアリーヌ」一緒に歌うロマンチックさが最高にかわいかった。カラオケ描写の長さも多幸感を高めるし、この映画の二次会的な立ち位置になってる。人と出会うという小さな幸福を愛でるだけで成立した最高の映画だった。
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