藍住

ワインは期待と現実の味の藍住のレビュー・感想・評価

ワインは期待と現実の味(2020年製作の映画)
4.0
ソムリエになるための難しさとか仕事内容とか昔のコナンの映画の認識しかなかったんだけど、とても奥が深くてめちゃくちゃ難しくて、文字通り狭き門なんだな……!!とただただ圧倒された。
父親と上手く意思疎通ができなくて、その間を取り持っていた母親の存在が大きくて、フラッシュバックするシーンで泣いてしまった……。(いやあそこのシーンのママドゥ・アティエ凄くなかった??????)
イライジャ、日本の英語教師を目指してみたり、DJやってみたり、色々な道を模索してその次がワインだったんだろうけど、色々な仕事にチャレンジして夢中になれるものを見つけたということが全てだと思ったな。
むしろ自分の道を見つけたイライジャを尊敬する。親の目からすればフラフラして何やってるんだ?と思われるかもしれないけど、自分が本当にやりたい仕事なんて、色々な仕事をやって見つけるのも一つの手段だから。
イライジャのパパだって、初めて見たんじゃないのかな。
イライジャが勉強をし続けることを選んだ姿を。
家族関係はちょっとだけ変化して、あのラストシーン、あまりにも完璧すぎる。
未知のの世界を見ることも楽しくて、面白かった。


【ここからは覚書】
ここ最近続けて黒人が主役の映画を鑑賞し、比較して思ったのが、黒人って普通に仕事を見つけることも本当に大変なんだなってことだった。
今回観た『ワインは期待と現実の味』で仲良くなった白人の子はフランス留学のお金がさらっと出せて黒人の主人公はお金が足りないから折半するんだよね。
折半ならどう?って提案するのは白人の男の子。
自分の旅費と友人の旅費を折半するってどんな環境なんだ?って困惑しちゃったよね。
イライジャは作中で白人だらけでしんどいって吐露するシーンがあるんだけど、これも何回も受験できるほどお金がないから、黒人が少ないんじゃないか?
ソムリエになるにはめちゃくちゃお金がかかって尚且つ狭き門で脱落する人はしてしまうって言ってて、イライジャのバイト?仕事先?の上司は確か3回は試験を受けたって言ってた気がするんだけど、3回も勉強し直して受験できる環境があるって時点でもうスタートラインが違うのだと思った。
もうこの時点で見事な経済格差……って絶望したし、教師の道を捨てて親の店を継いだイライジャのパパもソムリエ目指すイライジャのことを全然応援できないのも、夢を追いかけるよりも安定した職を掴んだ方が良いってわかってるからなんだろうな……。
いや、もう本当に辛かった。
イライジャのパパが2軒目の店をオープンした時も、この場所なら裕福な白人の世帯が多いから(店にも客が入りやすい)って言ってて、もうね!どうしたらいいんだ…………っていう。
先日観た『インペリアル・ドリーム』も同じだ。
手に職をつけることが難しいのがわかっているから、ヤクを売った方が簡単に生活ができるっていう、ヤクを売るのは駄目だってわかってるけど、そうさせてくれないのはアメリカという現実。
『ムーンライト』だってそうだし、根深すぎてひとつひとつ解決するにはそりゃ時間かかるよな……って思ってしまった。
オバマ前大統領の対応は遅すぎるって指摘されてたけど、ひとつひとつ片付けたとしても、終わりが見えないくらいやることが多くて、全部芋蔓式で繋がっているっていう悪循環。
藍住

藍住