オクターヴ

辻占恋慕のオクターヴのレビュー・感想・評価

辻占恋慕(2020年製作の映画)
4.5
この映画を観た直後だと感想の書き方が大変難しい。どうしよう。大傑作なんですけど。新作トップガンの余韻が全部ぶっ飛んだよ。どうしてくれる?IMAX版観たいのに責任取ってくれよ。予告で面白いのは予想してたけど、こんな映画なの?展開がななめ上すぎるだろ。この映画ちょっとステージを観ている感じがするんだよね。映画に引き込まれていく時って、それが再生可能なものというよりも、その時にしか起きない奇跡に感じる瞬間がある。そして、この映画を愛したい自分がいることにも気づいた。どうせにわかだろ?と拒否されても。コロナの影響で企画そのものの成立が危ぶまれた時も主演の早織さんがギターの練習を地道にしていて、しっかりと仕上げてきたらしい。だから、そこに宿るものって、生の迫力なのよ。森直人さんの大野大輔監督へのインタビューでこの作品が尋常じゃないオーラを発している理由がよくわかった。この映画体験は、視覚よりも触覚に近い体験だった。何に触れたのかというと、おそらく映画から溢れてくる怨念。ある種のホラーだと思う。社会に対してというよりも、正しく発見されないことへの憤怒。このような青春映画を撮らなくてはいけない大野大輔監督の個人的な立場。これは日本映画の革命とさえ思うし、全国に広がってほしいと思う。絶対にカルト映画にしてはいけない。そこに対しては使命感さえある。どうすれば広がるのか?誰に見つかればいいのか?自分のことのように思い悩むのだ。