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Mogul Mowgli(原題)のnatsumiのレビュー・感想・評価

Mogul Mowgli(原題)(2020年製作の映画)
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ブレイク直前のパキスタン系イギリス人ラッパーが念願のヨーロッパツアーを控えていたところ、ツアー開始前に久しぶりに実家に戻ったら病気が発覚したためツアーを断念せざるを得なくなる話。サウンド・オブ・メタルでは良くも悪くもリズ・アーメッドの人種を無視したストーリーだったけどこちらはそのアイデンティティに焦点を置いている。(だからアカデミー受賞にまで至ったサウンド〜と同じ年の作品だけど今作の知名度はだいぶ低い。)

リズ・アーメッド良い〜〜 イギリス系パキスタン人としてのアイデンティティ、宗教や文化、歴史からくる親から引き継いだトラウマやヒップホップ界だと特に強いtoxic masculinityとか。全て自分が夢を掴み取るために逃げてきたことが病気になってちゃんと歩くこともできなくなるので直面せざるを得なくなる。脚本にリズ・アーメッドも関わっていることもありパーソナルな感じが伝わるし、特に本名を西洋風にするのは白人社会に適合し生き残るためだったけど今は本人も葛藤しているんだろう。自分も日本の名前じゃなかったら英語名を付けていたかもしれない。代わりにツアーで入ってくれるという後輩ラッパーの曲がほんとアホで意味不明なの、ただでさえ自分がツアー行けないのに政治的なメッセージをラップで伝えてきた主人公にとって最悪すぎる。それとも自惚れた主人公視点の切り取りでそう見えるだけ?イスラム教のことも色々知れたけど、親切に教えてはくれないのでわからない言葉は自分でググったけど、それがリアルだし彼と同じ境遇にいる人たちに向けて作られたのが良い。最後シチュエーション的に笑えるはずのトイレのセッションで親子が和解できたのよかった。
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