アキラナウェイ

リトル・ガールのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
3.7
"女の子になりたい"

それが無理だとわかった時、少女の頬を夢も人生も砕かれた絶望の涙が伝う。

フランス北部に住む7歳の少女・サシャ。出生時に彼女に割り当てられた性別は"男性"。2歳を過ぎた頃から、自分は女の子だと訴える様になるが、サシャが通う学校はそれを認めようとはしなかった—— 。

公開時期の近い「トムボーイ」とテーマは同じだが、自認する性別は逆。親の受け止め方も違う。そして、ドキュメンタリーである本作の方が、当然ながら真に迫るものがある。

「サシャも私も一生闘い続ける事になる」と言う母。「サシャはサシャだ」と言う父。サシャの想いに寄り添う両親の姿が印象的。お姉ちゃんだって強い味方だ。

バレエ教室では、彼女の思いとは裏腹に男の子の衣装を着せられる。学校では、男の子からも女の子からも疎まれる。

母と臨んだカウンセリング。

つぶらな瞳に薄っすらと
涙が溜まり、
やがて溢れ出した。
母親の手前、
口にはしないけれど
7歳のサシャは
どんなに理不尽な目に
遭ってきたのだろう。

昨日、以前から行きたかったドーナツ屋さんでクッキーアンドクリームのドーナツとチョコがたっぷり載ったドーナツを買って食べたという話をしたら、「女子ですね」と言われた。

男子がドーナツ屋さんに行って
何が悪いんだコ゛ラ゛ァ゛ァ゛!!
という言葉は、一先ず飲み込んだ。

サシャは、どれだけの言葉を飲み込んできたのだろう、とふと思った。