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リトル・ガールのrillのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
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「髪を伸ばしてスカートを着たい、お人形遊びが好きでプリンセスに憧れてフリフリのビキニ着て…だから私は女の子」というコテコテのジェンダー規範を内面化した人たちが偏見を美化してひたすら繰り返し流し続けてるだけのスピリチュアルPVだった。
この子がたまたま美形で幼児だったから絵になり涙を誘うけど、それはただのルッキズムで感情論でしかない。

「女の子も青を着るけど」
「もちろん」
「あなたは青を全部嫌がったでしょ」
「嫌いだからしょうがない」
↑このシーン、何気なく流されていて本人達も自覚ないようだが非常に重要で真理だと思う。
現実の女の子ともズレた、こだわりの強さ。
女の子は青も着るしズボンだって履く、女の子らしくない女の子なんて山ほどいる。
男の子がピンクやスカートや人形遊びが好きだからといって、何故それが女の心となるんだろう。
理解されないと憤っているが、まず自分達は「女」とは一体なんだと思っているのか。装飾や嗜好の話ばかりで本質に迫っていない。
はるばる訪れたジェンダークリニックも、検査やエビデンスもなしに問診だけで希望のままに診断を付け早期からの医療行為を勧める。
成長抑制剤はやめることもできるように言われていたけど、実際は副作用や不可逆の後遺症もあり、現在ではデトランス(トランスをやめる)した元患者や家族による大量の訴訟が世界中で相次いでいる。

男なのにスカート履くなんて異常っていうのも、スカート履きたいから女の子だよってのも、どちらも「スカート=女」という固定観念であり、サシャ達と男児のスカート登校を受け入れない学校は根本では一緒だ。
「女の子の服装」「男の子の服装」と何百回連呼すればその区分け自体が差別的だと気付くのだろうか。

女性たちはずっとステレオタイプのジェンダーの押し付けに抗い、ズボンを履き、ヒールやブルマをあてがわれることに異を唱え戦い社会を変えてきた。
女がズボンを履くのは心が男だからじゃない。
なんで性規範ではなく自分の身体の方を否定することを美談にするのだろう。
ありのまま認めるってそういうことじゃないだろ。

かわいいものが好きな個性的なだけの子どもを特別視したり、悲劇の子として医療的に身体改造しようとしたり、周囲に女として扱わせ受け入れさせようとするホラーが正義として猛スピードで世界を席巻している。

母親は出産時に女の子が良かったと思ってしまったからかもと悩んでいたが、それは非科学的だとキッパリと否定できるのに、「女の心」とは一体何なのか、どうやって証明されるのかという核心には誰も触れない。

こういうことを言うとまともな反論ではなく、ただただトランス差別だと攻撃してくるからうんざりする。

あなたたちこそ、可哀想とか美形だとか上っ面の感情論でしか話してないし、スカートやピンクやらを女に紐付ける方がよっぽど偏見で女性差別ですよと言いたい。
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