コーディー

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ーのコーディーのレビュー・感想・評価

4.0
〝この国にゲイはいない〟と笑顔で語る首長率いる政府が組織的に行う同性愛者への拷問、更には一族の恥として身内にも殺されかねない…
そんな人を人とも思わぬ因習や迫害から救助しようとする支援団体の命懸けの告発、寛容さを失った世界の悍ましさに戦慄する。

ドキュメンタリーではあるけど逃亡者を政府に特定される危険を避ける為、人物の顔を別人にデジタル処理している。表情などに少し違和感はあるけど国家を相手にする勇敢な闘い、その覚悟が伝わるあるシーン。処理が解ける緊張感と共に、非人道的な現実を世界に発信しようとする意志に命が宿る。凄い!

何度も挟まれる活動家が入手したビデオ映像のショッキングな内容。ゲイという理由だけで様々な暴力や脅迫、命の危険に晒される壊れた世界。主な登場人物のひとりグリシャも言ってたけど友好的だった人達も一瞬にして差別主義者に変貌する。国やコミュニティの意向が個人を狂気へ変える現実が恐ろしい。

同性愛者と見られていた有名歌手ゼリム・バカエフさんが妹の結婚式後に失踪した話とか、こんなことがまかり通ってるなんて本当に現代の話なのかと信じられないし、怖過ぎる。