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誰がキャプテン・アレックスを殺したかのambiorixのレビュー・感想・評価

3.5
ウガンダ🇺🇬初のアクションムービー!
首都カンパラの郊外にあるスラム街、ワカリガに本拠を置く「ワカリウッド」が製作した作品で、かかった予算は日本円にしてなんと2万円だそうな。これより安上がりな映画といえば6000円で撮られたイギリスの『コリン LOVE OF THE DEAD』ぐらいしか思いつかんのだけど、超超超低予算の映画が往々にして登場人物を極限まで絞ったホラージャンルに傾きがちなのに比して、こちらはコマンド&マフィアが血みどろの抗争を繰り広げるアクション映画、というチャレンジングな試み。コマンドサイドの俳優たちはみんな揃って迷彩シャツにモデルガンといういでたちだし、なによりもポスプロのセクションでヘリやら弾着やらの特殊効果を入れなきゃいけないことを考えると、日本人の感覚ではどう頑張っても2万円には収まらない気がする…。いったいどういうカラクリなんだろう?
本作で特筆すべきはなんといってもVJエミーだ。ナレーション?活動弁士?いやさ、もはや実況とでもいうのか、こいつが全編を通してひたすらにしゃべり倒す。登場人物の心情を勝手にアテレコで代弁したり、画面に映っている人物がコマンドなのかマフィアなのかを大きな声でもって分かりやすく教えてくれたり(すごく助かる)、あまつさえアクションシーンの途中で6年後に撮られる次作『バッド・ブラック』の宣伝まではじめちゃう始末で(ってことはこのボイスオーバーはオリジナル版には入ってないのか🤔)、もうやりたい放題。むちゃくちゃ笑えた。
個人的に好きなのは、マフィアのボスが「ナイジェリア映画を見た罰だ。ワカリウッドを見ろ」と言って女を拷問するシーン。謎のライバル意識が垣間見えて面白かった(ちなみにナイジェリアは年間の映画製作本数がアメリカを抜いて世界トップクラス)。
逆に、このVJがいなきゃ見るに耐えないチープな代物でしかないんだけど、それでも撮影現場は楽しかっただろうなあというのが画面越しから伝わってくるし、お金がないなかで何か面白いものを作りたい!という熱意もビシバシに感じた。点数こそ低くつけましたが、その辺のビッグバジェット映画なんか比べ物にならないぐらいの満足感があったよね。次作以降も観たい!🤩
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