『欅坂46』のデビューから活動停止までを追ったドキュメンタリー作品。
グロテスクという言葉が残りました。
『欅坂46』というアイドルグループのドキュメンタリーという事ではありますが、中盤以降はほとんど『桐島、部活やめるってよ』を観ている様な気分に陥ります。
決して『欅坂46』の熱心なファンだったわけではないのですが、本作に記録されているライブ映像でのグループのパフォーマンスには改めて圧倒されました。そして、やっぱり平手友梨奈氏のシャーマニックな表現力は戦慄を覚えるまでに衝撃的です。
それが故に時代の苦悩や不能といった不幸を一身に背負わされてしまうまでに彼女の存在が肥大化してしまい、結果的に、その才能がグループ内で自家中毒を起こすという、非常に不健全な状況が垣間見えます。
ただ、これって本当にプロデュースする側の問題なので、とにかく無責任で無節操なカリスマ性を楽曲と表現で呼び込んでしまっているんですよね…所謂スターシステムってヤツですよ。「ポップスターは大衆の不幸の集積」ってやつ。それを明らかに意図したビジネスとなっている。醜悪だと思うのは、その結果として彼女が自死に至っていてもおかしくなかったという事。そして、どこかそれを煽るような表現にすらなっているという…いたたまれない気持ちにしかなりません。
幸いにもそういう最悪の結果を招く事はありませんでしたが…非常に許し難く感じました。
劇中でおそらく本作の監督だと思いますが「大人の責任って何だと思いますか?」と上野隆博氏に尋ねる部分があり、そこは非常にビリビリきました。秋元康氏がほとんど出てこないのも本当に卑怯。
溜息しかでません。
背負わせてごめんよ女の子たち。
■監督:高橋栄樹
・撮影:上池惟孝
・音楽:大坪弘人