森永昇吾

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46の森永昇吾のレビュー・感想・評価

3.0
桐島とかゴドーとかの不在の神に踊らされる人達(少数のメンバーと振付師しか出てこないが)を描くドキュメンタリー。

正直な所これ見てて心が動くのは平手友梨奈氏が出てるところだけで、踊らされた人たちがメインかと言えば、殆どリーダーの菅井さんと小池さんが喋っているだけ。他のメンバーの話はほぼ出てこないし、振付師のコメントは完全に要らなかった。

曲のプロモーションも無駄に長いし、この構成なら終盤に出てくる、グループそのものを象徴するメタメタな曲「黒い羊」以降は蛇足に感じる。

最後に振付師の人が「大人の責任って何ですかね?」ってインタビュアーに聞かれるんだけど「見守る事」って答えてて、眉間の皺がとれなかった。全然見守るどころか対立構造を煽って商売してんじゃん。

圧倒的なイレギュラーである平手氏すら予定調和に見えてくる欅坂のコンセプト。恋愛禁止のアイドルが恋愛の歌を歌うような矛盾なんて可愛いものではなくて、マイノリティとマジョリティ、個性と無個性、大人と子供の対立を大人達にプロデュースされるってのは、もうプロレスと言うよりも政治を見てるような気味の悪さを感じる。

平手友梨奈という才能の爆発にただただ震える2時間なのでそれだけでも見る価値は◎。
森永昇吾

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