せ

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46のせのレビュー・感想・評価

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公開当時、中々見る勇気が出なかった作品。
一期生がそれぞれの道へ歩み始め、櫻坂の活動も軌道に乗ってきた今なら見られるかなと、ようやく覚悟を決めて視聴した。

デビュー間もない頃の雰囲気、沢山のライブ、様々な楽曲や衣装、どれも懐かしい。
印象的だったのは代理センター達のシーン、「黒い羊」MV撮影時の呆然と立ち尽くす鈴本、そして2期生として加入したのに、その後は実は平手の一番近くに居たんじゃないかという田村の言動や表情。
しかしそのどれもが霞むほど東京ドーム公演のシーンは強烈にグロテスクだった。

ファンの間では魔曲とすら呼ばれるようになってしまった代表曲「不協和音」を披露している時のファンの熱狂の渦。
冠番組でのレポではあんなに素晴らしいものに見えたのに。
舞台裏からメンバーに付いてきたカメラが撮ると、こうも恐ろしく見えるものかと愕然とさせられた。

その後、ぐったりして「やだ、やだ」と呟く女の子を沢山の大人が無理矢理担ぎ上げ舞台まで運んでいった姿は、正にこのプロジェクト全体を象徴する光景だった。
舞台に上がった瞬間、表情を一変させ美しいダンスと歌を披露し始める直前、カメラに映り込んだ指は汗なのか涙なのか唾や鼻水だったのか、とにかく何らかの液体を拭ったのだと分かるほどに濡れて光っていた。
観客たちはそれすらも熱狂にしか変えられなかったんだろうか。

私たちは一体今まで何を見ていたんだろう。
秋元康は何を見せたかったんだろう。
大人の責任はなんですか?という質問はTAKAHIRO先生に聞くべきものだったのか?

これから櫻坂46と平手友梨奈はどうなっていくのだろう。
彼女達が幸せに生きられる場所に、彼女達自身の手で変えていける事を願っている。
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