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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46のxazsaのレビュー・感想・評価

5.0
平手はもう限界ギリギリだったんだなあ。
ファンの声援やメンバーやスタッフの声がまるで残酷な凶器のように彼女を追いたてる。
それでも舞台に立ち続けた彼女は何を得て、引き換えに何を失ったんだろう。
渡邉理佐が最後に言っていたように、彼女には幸せになってもらいたい。幸せになってもいいんだよ。

そもそも欅坂46を知らない人がこの映画を観ることはほぼないでしょうし、ファンでなければ観たとしても彼女たちのことを完全には理解できないと思います。
でも、自分がファンであることを差し引いたとしても、今作はドキュメンタリー映画としては出色の出来だったと思います。
もちろん食い足りない部分はかなりあるし、インタビューを受けていない他のメンバーたちの話も聞いてみたい。もう少し綺麗事ではない部分もあったと思うけど、そこは映画ではほぼ触れていない。
小林が最後に言った、自分の意見は他の人とは違うから、この場では言えないっていうのが、多分本当にギリギリな発言だったんでしょうね。

平手という主人公が不在のまま、この映画は平手の周りの人たちの右往左往を描いている。
映画としては、『桐島、部活やめるってよ』と構図がよく似てる気がした。
正直、映画の内容としては、ファンなら噂話で聞いていたことの答え合わせみたいなもので、過剰な宣伝ほど衝撃の事実があるわけではないです。
結構予告の一部分だけを切り取られて、誤解と悪意のままにネットで広がっていたりしますが、通して観ると彼女たちの発言やスタッフの発言はすべて納得できるものでした。
ただまあ、スタッフはもう少しフォローしないとダメだろうと思うところは色々ありましたが。
絶対的センターがライブ当日に会場に来ないっていうのは、平手はSOSを出していたはずなのに、何とかなると強行したスタッフ側の完全なミスでしょうし、前もって欠席が分かっていれば、他のメンバーももう少し動揺を抑えて、冷静に事態に対応できていたと思います。
その点で、タカヒロ先生に大人の責任について質問をぶつけた監督は、ちょっと凄いなと思いました。
多分映画を撮っていて、彼女たちに対して、他のアイドルにはない違和感を感じた監督なりの注意喚起なのかな、と思ったり。

とにかく、心を動かされることを感動というならば、確実にこの作品は感動作です。
黒い羊のところで、彼女たちにシンクロし過ぎて、泣いてしまいました。
出来うるならば、彼女たち全員に幸多からんことを。
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