みりお

キャンディマンのみりおのレビュー・感想・評価

キャンディマン(2021年製作の映画)
3.5
オリジナル未見にて鑑賞🌟
すごく面白かったかというと、決してちがう。
主人公やヒロインの感情についていけない部分も多いし、掻き立てるような恐怖感を作り出せず、とりあえずグロ描写に走ったような印象。
あとキャンディマンの虚しさや切なさ、不条理な蔑みは描ききれていなくて、ジョーダン・ピール脚本の割にキレがない、という印象かな。

ただおそらくこの作品は、2020年に起こったミネアポリスのジョージ・フロイド事件の後に作られているからこそ意味があるんだろう。
白人警察官が、無抵抗の黒人に対して暴力を振るい、命を脅かす事件が後を絶たないが、あの窒息死の事件は本当にむごかった。
あの事件を観たジョーダン・ピールは、憤りから思わず筆が止まらなくなったのでは…?と推察させるくらい、人種差別への怒りと批判に満ちた作品だった。
終盤の描写なんか、まさしくそれ。
無抵抗か否かは関係なく、目の前の相手を軽視するが故に簡単に繰り広げられる暴力。
キャンディを渡すことで愛を伝えていた男が、その親たちから受けた仕打ち。
観ていて辛かった。

フィルマの皆さんも言ってるけど、これはオリジナルを観てから観るべきだったかも。
オリジナルのほうがどうやらキャンディマンの怒りややるせなさが丁寧に描かれているようだし、その背景を知った上で観たら、迫力ある描写に感情移入できたかも👀

ただ史実を振り返るシーンに用いられる切り絵は好きだったなぁ✨
ものすごく残酷な過去を振り返っているのに、それを史実として言い伝えや文献受け取るからこそ、どこか曖昧にしか把握できない心情が、切り絵によって見事に表現されていた。


【ストーリー】

アメリカ・シカゴの公営住宅「カブリーニ=グリーン」。
そこでは鏡の前で5回その名を唱えると、右手がかぎ爪の殺人鬼“キャンディマン”が現れ、殺されるという都市伝説が語り継がれていた。
老朽化した団地が取り壊されてから10年後、新設された高級コンドミニアムに画家のアンソニー(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世)が恋人と引っ越してくる。
創作活動のためにキャンディマンの謎を調べていた際、彼は公営住宅に住んでいた人から伝説に隠された悲しい話を聞かされる。


【キャスト・スタッフ】

*監督:ニア・ダコスタ
アメリカ出身のアフリカ系女性監督🇺🇸
史上最年少、かつアフリカ系で初めてMCU作品(『マーベルズ』)の監督に選ばれたことで話題になっていた彼女の、2作目の監督作が本作でした✨
ちなみに3作目は『マーベルズ』になる予定だからすごい👀✨異例の出世すぎる👏
2009年から人種差別をテーマにしたshortfilmなどを製作し始め、2018年に『ヘヴィ・ドライブ』で映画監督デビュー🌟
デビュー作ながらいくつもの映画賞を受賞し、いまノリにのっている監督さんです✨


*アンソニー:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
アメリカ出身🇺🇸
2016年にバズ・ラーマンのミュージカル・ドラマ『ゲットダウン』でデビュー🌟
その後2017年に『シドニー・ホールの失踪』で映画デビューし、2年後には『アクアマン』でヴィランのブラックマンタを演じるまでになった、急成長俳優さんですね☺️👍
過去の出演作は大作が目白押しで、『ベイウォッチ 』『グレイテスト・ショーマン』『アス』『マトリックス レザレクジョンズ』など。
『アクアマン』の続編にも出演が決まっていて、勢いがとまらない俳優さんです✨


*ブリアナ:テヨナ・パリス
アメリカ出身🇺🇸
いまや『ワンダ・ヴィジョン』のモニカ役であまりにも有名になった女優さんだけど、最初は全然気づかなかった👀!
テヨナは2010年に『Empire Corner」で映画デビュー🌟
いまのところ大きくはねた作品はMCU以外にないけれど、主な出演作としては『ビール・ストリートの恋人たち』『ゼイ・クローン・タイローン/俺たちクローン』などがあります。


*ダニエル/ キャンディマン:トニー・トッド
アメリカ出身🇺🇸
なんとオリジナルの『キャンディマン』三部作でもキャンディマンを演じていたそう👀!!
映画だけで70本近い作品に出ていますが、その役が彼のキャリアの中で一番有名な役なんだとか👀❗️笑
その他の出演作は『ファイナル・デスティネーション』『トランスフォーマー/リベンジ』『LEGO』シリーズなど。
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