奥

望みの奥のレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.5
悲劇を包み込む愛と優しさ。

「息子が殺人を犯しているわけがない」
と望む父と、
「殺人犯でいいから生きていて欲しい」
と望む母。

加害者、被害者という結果ではなく、その奥にある真実が一筋の光明のように主人公家族の闇に差し込んでくる。家族の悲劇は、愛と優しさに包まれていく。

「美味しいものをを食べさせたい」と買い物に走りキッチンに向かう姿がリアルに感じました。

苦しい家族の葛藤が描かれていました。どの人物にも感情輸入してしまう現実味のある作品でした。登場人物全員が違う「望み」を抱えていて結末がどうであれ望んでいた結末だったにしろ決して喜ぶべきことではない。

本作は、終盤、殺人事件のプロセスに丁寧に迫ることで、人間の愛と優しさを浮き彫りにし、救われたという気持ちに満たされる良作でした。
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