よし

望みのよしのネタバレレビュー・内容・結末

望み(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

堤真一の演技がやっぱり好きで安心して観られる。けど、すっごいもやもやする。
最後に家族が晴れがましいのにも違和感がある。

納得できなかったので原作を読みましたが、映画は原作と伝えたいことが違います。
映画は2〜3時間でまとめないといけない制限があるのでその点ではうまくまとめていると思いますが、小説は『身内が人を殺さない優しい青年だったから家族の心は救われた』という単純な話ではないと思います。

世間では多くの人が自分を善い人間側に身を置いていて、逆の立場になることなんて考えてもいない。だから何かの事件があると犯人を叩いたり、その親を責めたりしている。自分もそういうところがあるけれど、これって正しくはないのだと思います。

もし、自分が叩かれる側になってしまった時に、自分だったら耐えられないなという考えが頭にあって、自分が耐えられないようなことを人にするのってどうなんだろう。

犯罪のニュースを見て、当事者でもないのに勝手に怒ったり悲しんだりして犯人を憎むのは良い人だからではない。逆に全く怒らない、罪は憎んでも人は憎まないなんて仏のような考えは人間らしくないと思う。
映画の石川家は悲しみを抱えながら前向きに歩いていくんだろうけど、小説の石川家はどっち付かずで一生苦しむんだろう。
よし

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