アベラヒデノブ0阿部羅秀伸

ドント・ルック・アップのアベラヒデノブ0阿部羅秀伸のレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
5.0
これを、フィクションと捉えてはならない。
これは、SF映画でも無ければコメディ映画でもない、いつか確実に起こりうる未来予測に基づいた、限りなく現実に近い、物語である。
人類が誕生する遥か昔、彗星衝突は、地球の長い歴史の中で繰り返されてきた、事実である。
地球が滅ぶより、宇宙が収束するよりも前に、またいずれ再び地球に彗星が衝突する、そんな1日が明快に訪れるのだ。
人類絶滅の危機に遭遇したその時、現在の延長線上に存在する"未来の地球人"に忠実に向き合って創作した結果、
クソブラックファッキンコメディーSF傑作が誕生してしまった。
それだけの話だ。嘆くべきだ、騒ぐべきだ。
久しぶりに、脳みそが吹っ飛んだんだ。最高すぎやろが。
その上、こんな文章を打ちながらも、僕は確実に、劇中に無数に登場するスマートフォンやSNSに蝕まれた重度依存症患者であり、
滅亡のその時も、このようにツイートをしているかもしれない。
今作が、これまでの地球滅亡ストーリーと一線を画しているのは、情報過多な世の中で、自分にとって都合の良い情報を食らい続ける、スマホヒューマンズに対する警鐘がブチ鳴らされて続けている点だ。
エンドロールの後に、最高のオチがある。最後まで目と耳をかっぽじって、テンアゲで鑑賞を続けてほしい。
こんな映画を、待っていた。もはや映画じゃ無い、体験だ。エンタメだ、アトラクションだ。
本編ラストの食卓シーンの…何と美しいことか。。
僕らの退屈に繰り返される1日1日が、何と愛しく、尊いことか。。
僕らは皆んな、等しく、確実に、死ぬ。
この映画を観て、僕たちはフォロワー数よりもイイネよりも人間関係でのストレスよりも、もっともっともっとシンプルで深淵なる命の鼓動に、今こそ耳をすませるべきではないだろうか。
湧いた。今もなお、沸き続けている。
万人の歓声か、地球の雄叫びのような地鳴りか、波のさざなみか。
ファッキンフューチャー、サンキューエブリデイ。