TaiRa

ドント・ルック・アップのTaiRaのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
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アダム・マッケイの保守イジり芸と出自であるSNL的セレブリティ招集コントの集大成で年末特番感高い。

全方位バカにする人類オワコン喜劇の最新版が更新されて、この手のジャンルが好きな自分にとってはありがたい。遡れば『我輩はカモである』や『博士の異常な愛情』などの古典があるし、現代でもマット・ストーン&トレイ・パーカーはずっとその道を突き進んでいる訳だが、映画ではあんま作る人がいない。直近だとマイク・ジャッジの『26世紀青年』が最後かな。アダム・マッケイが政治経済を扱う喜劇に注力してから(≒ウィル・フェレルと別れてから)は、頭で考え過ぎた笑いで全体的にこじんまりしてた。今回も社会問題とその反応をカリカチュアした点では今までと同じなんだが、如何せん分母がデカいので豪快さが出てる。豪華キャストでコント番組的に場面を作り上げ、忙しない編集で見せる軽薄さは、人類滅亡という大風呂敷の中で展開される事態の醜悪さをより際立たせる。マッケイがテレビ出身者なので、やたらテレビ周りのネタが多いが、それはそれで『ネットワーク』最新版的な嫌味があって嫌いじゃない。マッケイは良くも悪くも「アメリカ」の喜劇作家なので、世界全体の動きが描けていないのがもったいない。何処其処の国ではこんな事になってる、みたいなギャグが足りなかったかな。
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