このレビューはネタバレを含みます
よかった!!!
地球が滅びるの確定が冒頭にきて、そこから世界がどう動いていくのか、というのをコメディタッチではあるものの、ギリギリありそうなラインで描いている作品だった。
大統領のコミカルさと馬鹿さ加減をかなり際立たせていたから、そこだけはやや露骨ではあったものの、実際問題「空を見ろ!」みたいな空虚な拡散運動も変なリアルさではあった。
それに対して選挙戦が「空を見るな!」というので戦うのは一体なにを仮想敵としておいてるんだよみたいなまあやや変な構図ではあったけど。
発見者は一学者にすぎず、権力をもっていないからできることが非常に制限されていて、ほぼ世論の形成をあおることしかできない。
TV番組で暴露めいた話をすること、フォーラムで売れっ子歌手に空を見ろとうたわせること、そんな外堀からしかできないのだ。
結局隕石破壊の実効的な力を持ったのは、米国と利害相反する三国で、彼らが打ち上げようとしていたものは破壊工作の憂き目にあって終わるという、ある種米国一強をメタったような内容になっていた。
流石に地球滅ぶかもしれないけどあの隕石いちかばちかほしい!という我を通せるほどの強さがあるのか、までは学のない僕にはわからないけど、論理的には破綻していない内容ではあると思う。
そもそも隕石が本当に激突するのか?という点はおそらくギリギリまで議論にはなるだろうから、その観点で衝突はするだろうし。
結局世界共通の仮想敵がいたとしても、一致団みたることはない、それこそ映画みたいにはいかないぜという。インディペンデンスデイみたくヒーローは現れないし、アルマゲドンみたいに悲劇的な最後にもならない。
ただただ隕石がぶつかることがわかって、最後は隕石がぶつかって終わるという、そこで奇をてらわない構成が非常に好感があった。ここでなんか超能力に目覚めましたとか言われない、というのがなんというか、一周回って新しい、そのプロセスを魅せるだけの群像劇が非常に上手な作品だとおもう。
一応ラスト2万年後の話がおかれているが、これはまあ。。。なんというか、果たして生きることに固執したとてそれが幸せとは限らない、という点ではそうだよなぁと思う。
できることはやり切ったと話し、受け入れて死んでいくことがいいのか、未知の星に到達することに賭けるのか、という二択だとしたら、果たして自分ならどっちを選ぶだろうか。まあ選択肢があることも現実的ではないと思うけど。
あと最後生きてたの老齢の人ばっかりで全然若者がいなかったんだよな。実際隕石激突時の利権を考えたらああなると思うし、彼らはただ生き延びることだけを目的としてるから別にいいんだと思うけど。
とか考えると果たして若者をわざわざ選定して人間という種を生き延びさせること、にどれだけ意味があるのかとかも考えちゃいますね。
Dr,STONE(石になった全人類を救うジャンプ漫画)ってすげーんだな。復活させることはぶれないんだもんな。