GOODNIGHT

ドント・ルック・アップのGOODNIGHTのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.0
このSNS時代を盛大に皮肉っていて面白かったです。
ワクチンの陰謀論を皮肉ってるのかな?
データに基づいて真実を公開しているにも関わらず、何故か信じない勢力が現れるという昨今の状況です。
映画では、彗星そのものが見えても信じないと言うのはシュールでした。

SNSはこの世に現れて実はまだ日が浅く、それとうまく付き合っているつもりが全くそうでないのだろう。

正しいことでも、間違っていることでもさまざまな都合のいいデータや話術を使って扇動することができる。

SNSがない時代では、ある程度の影響力や資金力がなければ自らの言動を世間一般に知らしめることが難しかったが今は、偶然性が上がって一躍有名人になるチャンスが圧倒的に増えたと思われる。
一方で、それは自己顕示欲を満たすためのツールに過ぎず他人に受けるかどうかぐらいの意味合いしかない。

本当に世の中をよくするだとかそうゆうことは残念ながら頭の片隅にもない。
寄付だとかチャリティーも広告料だ。

そして民主主義の崩壊だ。上記のような人間が蔓延る世界ではイデオロギーも何もかもが正しさではなく、受けるかどうかである。加えて判断基準は他人よりオシャレかどうか、そしてカネである。

明らかにアップルをはじめとした巨大企業がその資金力で政治に介入している状況も大変に問題だと言っているのだろう。

科学は結局、金儲けの道具?
金儲けができない発明、発見なんてゴミクズと一緒。それが資本主義の考え方。

 彗星が激突して人類が絶滅するかもしれないのに、それを回避するためには支持率をえる政策になるかどうかが問題になる。
 人類が滅亡するかもしれないのに、取らぬ狸の皮算用で勝手に破壊したあとの資金について妄想している。

 アメリカを始めとした資本民主主義は年々、その度合いを高めてきている。
 SNSは自由を象徴するツールだと思わされているが、それは市場価格をブーストさせる、いわば水増しさせて買わせる装置だと気づくべきなのかも。
 同じ市場規模でも二倍の値段がつけば単純に経済規模は二倍になるからね。
 その無意味な値段はSNSによって無価値を無意味に増幅させて作り出されている。

そもそもSNSが世の中に蔓延る以前に自分の考えを発表するには、それなりの努力をして本を出版してもらうか、会社なりの組織が代表して推敲、裏付けがあって記事になるというプロセスが必要だった。
 それが、現代ではど素人の科学者でもないただ顔が可愛いかかっこいいやつがどこで採集したのかもわらないデータを切り取ってわかり易く動画にするインチキ科学をなんの努力もなく垂れ流すことができるのだから活字だろうと最早、信頼できる情報などはかえって携帯電話からは回収できないだろう。

第二次世界大戦後の自由資本民主主義の誇大妄想世紀はそろそろ弾け飛ぶでしょう。

残念ながら、この映画が面白くないとか理解できないことを単純な言葉ではなく論理的に説明できない人が今日もSNSで謎の発信をして誰かが共感している世界ってやっぱりやばいです。
そしてそんな人が選挙権を有して政策に関与できる世の中はもう限界を迎えようとしている。

 資本自由民主主義の政治家が最も票を引き込める民衆グループは、問題に対して2択で考えることしかできないグループです。
 彼らは長い説明や能書を理解する能力はないので結論で儲かるか損するかに焦点化すればいいだけという状況に陥っている。
 
新情報社会では、新たな情報発信者を監視、抑制する新たな権力が必要なのかもしれません。三権ではもはや不十分。政治システムが溢れかえる情報を制御できなくなっています。

そんなリアルをシニカルに描き出すいい映画でした。
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