大道幸之丞

ドント・ルック・アップの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ラース・フォン・トリアーの「メランコリア」とアウトラインは似ている。
一応カテゴリは「ブラック・コメディ」しかし予算も潤沢で特撮も贅を尽くしている。

ミンディ博士(レオナルド・ディカプリオ)と助手で院生のケイト(ジェニファー・ローレンス)が地球に向かって来る巨大な彗星を発見する。計算では半年後に衝突する。地球が最後を迎える規模の被害が想定される

すぐさま既知のNASA惑星防衛調整室長オグルソープ博士(ロブ・モーガン)とコンタクトしホワイトハウスに出向きジャニー・オーリアン大統領(メリル・ストリープ)へ告げるが、無関心な対応をされる。そこで知り合いのつてでマスコミに訴えるべくヘラルドのTV番組出演などで事実を訴える。

すると大統領選が近い事からこれを利用しない手はないとオーリアン大統領は昔のNASAで不要となっているスペースシャトルなどのロケットに核弾頭を搭載し打ち上げ、彗星の軌道を変える作戦を遂行も途中で皆引き返してしまう。

これには途中で割り込んだハイテク企業BASHの億万長者ピーター(マーク・ライランス)が隕石に貴重な鉱石が含まれている事から軌道をそらすでのではなく自社開発の探査機で隕石を粉々に爆発させ衝突の危険性を大幅に軽減した上で鉱物資源をいただこうと画策し大統領を口説いたのだった。

———ディカプリオとジェニファー・ローレンスの魅力で観客は引っ張られるが、残念なのはタッチがコメディなことで観ている側の緊張感が緩みそうになること。ドラマはSNSやスマホが蔓延した現代のアメリカ人の大統領=政治権力との距離感。権利ばかり主張し付和雷同し振り回されすぐポピュリズムに流される国民達をシニカルに描いている。

ビル・ゲイツを茶化したようなピーターと、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」では英国首相を演じたメリル・ストリープがこちらでも大統領を演じているのはなんだか面白い。

結局ピーターの作戦は不調に終わる。覚悟を決めたミンディ博士とケイトらはミンディ博士の自宅に皆を招き最後の晩餐を「終わりのとき」を待ちながら団らんで過ごす。

結局隕石は激突し地球は荒廃する。作戦の失敗を察知したピーターとオーリアン大統領は秘密裏に冷凍保存カプセルに身を寄せ、2万年後に地球によく似た大気を持つ惑星に到着するもそこで見かけた動物に不用意に近づいたオーリアン大統領は頭から食い殺されてしまうのだった。

あらすじを聞くと面白くなさそうなのだが、本気で制作されているのでかなり見ごたえのある作品になっている。

少し前に多かった「地球滅亡モノ」だがおそらくコロナ禍の影響でこのカテゴリが少し増えているのだと思う。

————最後に、この映画はエンドクレジットの途中と最後にドラマの続きが流れるので要注意。