延々と歩く

ドント・ルック・アップの延々と歩くのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.2
 オールスターキャストによる風刺コメディ大作。人類を滅ぼす彗星発見!対応策もバッチリあるのだが国内の混乱によってちっともいい方向に行かないで大騒ぎになる。

 アダム・マッケイ氏の映画は、出来栄えは認めつつな~んか毎回ノりきれない。本作に対しては「分断されたアメリカやコロナ騒動をネタにしたのは分かるけどあまりにそのまんま」との批判があり、それがすべてかなあとは思う。

 スマホひとつでもっとえげつない放言がタダでいくらでも聞ける時代に、いまさらゴツゴツした大作映画にされても…みたいな。

 製作における徹底したSNS対応策やらマーケティングやらを感じさせるのはさすがなんだろうけど、頑張りすぎて作品内にそういうメソッド以外のこってないみたいな、行き着いちゃって味気なくなってるような感じ。

 日本人はディベートが出来ない、アメリカ人は出来る!みたいなのは良いとして、それが行き過ぎて映画撮るのもディベートで負けないようにしてよねとか言われるともうそれってコメディやギャグの背負うべき領域なのか、みたいな…。

 前作「バイス」には感じられた、見捨てられた地方都市にたいするあたたかい共感みたいのがうすいのも不満である。マッケイ監督は、松本人志いうところの「かなしおもろい」世界が分からぬ人でもないと思うのだが、今回はあんまり啓蒙的な目的にとらわれ過ぎてる、というか…。
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