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ドント・ルック・アップのrensaurusのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.3
痛烈も痛烈。彗星衝突が事実だろうが生きている人間の私利私欲で日常的な非日常が巻き起こっていく様子が描かれ、何もかもが風刺になっていて痛烈なのに、まるで喜劇のような物語として終わっていく。Don’t Look Upを回収した時のインパクトたるや。

クソみたいなポピュリズム、政権を動かすスマホ会社、身内で固めた政権、報道する気のない報道番組、情報の真偽を数字やデータで確かめられない民衆、膨大な情報に埋もれていく情報、どうでもいいゴシップ、ミームと広告、感動的ではあるが何にもなっていない映画やコンサートなどなど、よくもまあ…

ラストの最後の晩餐シークエンスのディカプリオが本当に素晴らしい。地球が終わるという恐怖に震えながらも、家族と人生を振り返って生を噛み締めている様子がよく表れていた。終わりになって、「何でも持っていたんだな」と気が付くのもとてもリアル。でも終わりになっていなかったら味わえていなかったとも言えるし。何とも言えない終末に同席できたような気持ちになった。ティモシー・シャラメのお祈りも良かった。宗教ってとてつもない恐怖の中では救いになるのよね。

良いもん観たなぁという余韻が残る痛烈な喜劇でした。
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