ゆずっきーに

ドント・ルック・アップのゆずっきーにのネタバレレビュー・内容・結末

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

周りの人がみんな誉めてたので鑑賞。

ユーモアを交えた社会風刺映画として秀作で、現代アメリカ批判をいかんなく詰め込んでくる感じは痛烈。あと、CGを惜しみなく使って彗星衝突をちゃんと真っ向から描写することで物語の強度が段違いになっている。ありがちな普通の映画では、彗星本体は画としては出てこずにオチも悲劇的なニュースの音声だけ流すとかで〆そうなところなのだが、これはNetflixの資力の賜物であろう。

一方でネガティブに感じた部分が無いわけでもなく。
「彗星」を気候変動のメタファーとしたことについて。彗星が6ヶ月で地球を砕くのに対して、気候変動とはより長期的で漸進的な地球破壊であるから、大衆の抱く危機への切迫感がまるで変わってくる。眼前に迫り来る滅亡をあそこまで軽視しまくる主人公以外の面々はさすがに虚構が過ぎますよねというか、真っ当に責任能力のある人間ならああは振る舞わないだろと若干冷めた気分で終盤は鑑賞。極端な舞台設定と極端な愚者を用意して、「これを極端と感じる奴こそがネットのバズミームや冷笑に毒されとるんやで…」とでも説きたいのだろうか。脚本家/監督の顔が透けて見え過ぎる本は好ましくない。

思った以上に政治的(主張の芯が感じられる)だけど、思ったよりも無思想的(自己批判性に乏しい)でなんだかちょっともったいないかも、そんな風刺作品でした。
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