こーた

僕が大人になる前に/ビッグな僕の青春のこーたのレビュー・感想・評価

3.8
16歳という歳は大人と子供の狭間で、ルールを破っている歳上はカッコよく見えたりする。そのうち自分もやりたくなって、アウトローはことをしている自分がイカしている気になる。そして過ちに気づいて冷静になったとき、後戻りが出来なくなってる。
子供なんだ許してやれ、と無責任な大人は言うけれど、その手綱を引くのもまた大人の役目。ジークはモーのことを大切に想ってはいたが、流されやすくモーの手綱を引くことは出来なかった。ジークの様な大人は一定数いて、長いモラトリアムを引きずり子供の世界に片足を突っ込んでいる。
本作の結末は悲劇だが、読後感は最悪ではない。それはモーが責任をジークに転嫁せず、自分の罪として背負い込む覚悟を見せたからだと言える。きっとあそこで責任を取らなかったら前を向けず、モーは後ろ髪を引っ張られ続けていただろう。ラストはそんな大人の片鱗を見せつける。他人の責任を自分の責任と言えるのが大人なのだ、と。
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