①ドキュメンタリー的な画面、劇中のインタビューに話を進行させる手法
ドキュメンタリー調に進むため、語り手が知りうることのうち、語り手が語ろうという意思を持った部分しか、観客も目にすることができない。
いわゆる神の視点で、裏でどう話が進んでいたのか、他人の真意や心のうちは語られず、心情をあらわす象徴になる描写などもない。
②語りたいテーマが多く、まとまりがない。
①②は現実に生きる人間が常に身を置く普通であるので、究極のリアリティと言える。
無認可とされた施設の正当性を痛切な愛情で守るというドラマティックな事実からドラマ性をある程度排除して描くが、ジョゼフの成長だけはドラマティックに都合良く描くなど、なにを伝えたいかがぼんやりしていて観づらかった。
ジャンルで断じるのは良くないが、このぼんやり感がフランス映画らしい。