このレビューはネタバレを含みます
古田新太主演
舞台演劇に無知な私のTVバラエティーだけの彼の印象は
酒焼け赤ら顔ガチャピンおじさん…
と全く失礼極まりないイメージしかなく
ポスタービジュアルと安易な想像により
傍若無人で狂気的なサイコパス役だろうと躊躇したが
「新聞記者」の松坂桃李
「佐々木インマイマイン」の藤原季節
共演に期待し珍しく公開初日に鑑賞
当て書きされたと思われる
古田新太の予想通りの「切れ芸」的な言動にはムチャクチャやな…とも思えたが
今現在学生の娘を持つ身としては他人事ではなく
いつ酒乱や錯乱状態での暴挙が起きるのかとヒヤヒヤして終始目が離せない
それを許容し期待してしまう程の事故シーンの強烈さ
延々フラッシュバックして脳裏から消えないのは監督の計算通りの演出だろう
しかし娘の同級生達の言動や元妻からの指摘からは
どこの誰より父親が一番娘に無関心であったことが伝わり
なぜ彼女がそこまでして逃げようとした理由は
父親に買って欲しいとは口が避けても言えず
事がバレるのが一番の苦痛と悲劇であったからでは…等々と感じながら
我が子について何を理解できているのだろうか…
全てがグサグサとこちらの胸にも刺さり続け
自分ならこの状況になればどのような精神状態に陥り
どこまで落ちて腐ってしまうのだろうか…と考えだすと
まんまと古田新太と製作陣の術中にはまる…
アカデミーに絡むかも
その言動等により
被害者が加害者に
加害者が被害者に
紙一重に反転する姿や各人の変化と責任逃れの無責任な組織を描き
２度目の葬儀
墓参り後の元妻への謝罪
抱き締める油絵
供えられたスマホ等々
ベタだけど畳み掛ける終盤は
マスクがハンカチ代わりになる程の嗚咽的に落涙シーンの連続
事故に関する裁判等は描かないの？とは思えたが
法律やモラルでは計りきれない人間の善悪をストレートに
また改心し完全に変化する人間性…なんて歯が浮く様な描き方にはしないところが現実的であり(人形の中の物をスーパーに持参し土下座かと安易に想像したが…)
残された者はもがき・あがき・うなだれながら
少しでも空白を埋める為に生きてゆくしかない姿
久し振りにドスンと重厚な物語をモロにくらった…
追記
当分映画・ドラマで道路付近を歩くシーンではトラックが気になり身構えてしまうだろうし
昨日観た「ガール・コップス」ではキッチリでゲンナリ…(泣)
