万引きして逃げた少女が不慮の事故に遭ったことから、万引きされた店と少女の父親、マスコミを巻き込んだ騒動が起きる話でした。
些細な事件から、ここまで話が広がるのかという部分がリアルに描かれていて、直接的な関係はないのに色々と口を出してくる近隣住民や、万引きされたのに落書きされる店舗とか、現実に多分こうなるんだろうなぁと納得できる完成度だったと思いました。
また、マスコミ批判的な文脈も一部あり、店長の謝罪を面白おかしく加工して炎上させたり、少女の父親の問題行動ばかりを取り上げたあげく、少し時間がたったら何事もなかったかのように報道しなくなるメディアの感じが皮肉っぽく描かれていたのも良かったところだと思いました。
ラストの少女の父親が絵を描くところとか、少女マンガを読むところとか、事件がある意味で父親が少女に向き合うきっかけになったというのは悲しいところではありますが、個人的には一番感動的なシーンだったと思います。
加害者と被害者のどちらかの立場というのでもなく、色々な面から迫っていく構成は、監督の力量がうかがえる部分で、今後の作品にも期待できました。
