無気力な虎

空白の無気力な虎のネタバレレビュー・内容・結末

空白(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

どう思いましたか?と観た人に
問いかけたい。

僕は
中盤までは、重苦しくて息苦しかった。後半からは、不思議なものを見ている感覚だった。

娘をはねた女が自殺をし、
その通夜で母親が娘の罪を
背負っていくと伝え、それを
静かに聴く。
娘を失った、同じ痛みを味わう人の言葉が、男を変えるきっかけを
与えた。

万引きを防止したい店長、気性が荒い父親、閉塞感漂う少女、これらが連鎖して悲劇は起きた。

中盤から男が内省して
変わっていく様が描かれているけれど、僕は序盤から檻の中の虎を観る様に男を観ていたから、中盤以降もそれは変わらなかった。

人は間違いを犯すこともあるから
人を責めすぎてはいけないと改めて思った。
さんざん、店長に言いがかりをつけて責め立ててきたけど、証拠とも言える化粧品が出てきたけど、それをまるで隠す様に捨てたのは、罰が悪かったからだろう。

人は変われると示しているけれど、その過程で行った行為の結果(壊れてしまった店長)も同時に描かれている。

僕は、あんな風に起床が荒い人間とは関わりたくないけれど、そんな人間でも丁寧に描いていくと人間味が見えてくるのは、不思議だった。でも、対面したらやっぱり虎だから、関わりたくない。

余談だけど
切り取って印象を操作するマスコミと、店長を変態扱いした学校関係者がとても不愉快だった。

ビラ配りをする人の中には
恋心で活動する人もいるというのは目から鱗だった。

愉しい映画では無いけれど
なかなかに見応えがある
人間ドラマだった。