はるな

空白のはるなのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
5.0
大阪から東京へ向かう夜行バスの中で観賞。
1時間40分、何度も一時停止を押したくなる逃げ出したいような気持ちを抑えなんとか最後まで観ました。
今も腹の底から湧いてくるような嫌悪感というかモヤモヤを感じながらバスに乗ってます。

古田新太演じる添田充、寺島しのぶ演じる草加部この2人がとにかくキツい。
自分のことは正しいと信じて疑わず他人にそれを押し付け強要してくる、こういう人います。

言いたいことあるならハッキリ言いなさいよ、って・・・アンタは出来るんだろうけどそれが簡単に出来ない人もいるんだよ。
花音や松坂桃李の演じる青柳なんかがまさにそうで、そこの対比がまあエグいし終始居心地が悪い。そらもう最悪の結末に向かっていくしかないですね。

言いたいことも上手く言えず責め立てられたり押し付けられたり、自分のこと嫌いになってしまって世界の全部が憎く思えたりすることがあるかも。
でもそんな悲惨な世界にもかろうじて良い面があるとすれば、それって誰かの何気ない言葉だったりするんじゃないですかね。それで全てが救われたり解決するわけじゃないけど。
自分以外の誰かがいるから生きていける。他者の存在こそこの世界で最も悲惨で、唯一の希望でもある、焼き鳥弁当。

この映画を最後まで見た自分に、最終的にこの映画が実人生にも照らし返して問いかけてくるもの、自分はどう世界と折り合いを付けて生きていくんだろう。

映画を見終わった今も残るこのモヤモヤはどうやったら解決するのか、今はまだだけどもう少し時間をくれ!


好きなシーン
・いろんな場所の“遠くに立ってる”古田新太
(スーパーとかお葬式とか)
・送別会のときのアレ
・藤原季節の出てる全シーン
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