Hiroki

アイヌモシリのHirokiのレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
4.0

アイヌの人達はみな、観光産業で生計を立てていることはしらなかった。資本主義の社会に所属しながら、アイヌ文化を保って生活していくためには自分たちの文化を観光産業にするしかないということが、なかなかに考えさせる。自分達の存在そのものが興味、奇異の対象としてみられることになるわけだから。基本的にアイヌの人達は今の「日本」的な生活をしていて、日本語しか話せないのだが、観光客が「日本語お上手ですね」って声かけるシーンがあって、非常にドキッとさせられた。そして、観光が出来なくなった今、こういった文化は保っていけるのだろうか。

若い世代の中にはもうアイヌの文化を背負って生きていたくないと言っている子供がいたのは印象的。バンドにアイヌの要素を取り入れるかどうかの話し合いのシーンは、ドキュメンタリーにしか見えなかった。


デポさんの演技力なのか、演出が上手いのか、とても自然で彼の存在はほとんどドキュメンタリー的で本物に見える。主演の子は表情がやや短調にも思えたけど素朴でいい演技だった。お母さん役は決して上手くはなくて演技くさいんだけどそれもまた味。素人感がむしろリアル。実母にこだわったことには意味があったように思う

熊を殺すかどうか話し合うシーン。儀式で丁重に熊を殺すのが野蛮と言われるけども、工場で育てた家畜を殺して食ってる方がよっぽど野蛮じゃないか的なことを誰かが、言っててとても的を得ていると感じた。エンドロールにうるさがたに配慮して、「この作品を作るにあたり、動物は一切殺していません」とクレジットされていたけど大嘘だよね。もろに魚を釣って捌くシーンがあったし、劇中で肉を食いまくってたけど。うるさがたにとっては、家畜とか、魚とか殺されて当然の動物と、殺したら可哀想で、且つ倫理道徳に反する動物という区別があるらしい。この映画は悪くないけど、一部うるさがたはどれだけ自分勝手なの
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