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アイヌモシリのyoshikoのレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
4.2
少年の成長と、アイヌ民族の思いと、阿寒湖畔の自然とが一つの物語の中に一体となっている。出演者のほとんどはアイヌ民族で、自分たちの物語を自分たちで演じることがこの映画をドキュメンタリーとドラマとの境目に置き、あたかも阿寒湖のコタンにいるような感覚を観客に与える。少年のまなざしの強さが注目されているけれど、ヒグマのまなざしと響き合うことで、まなざしは別の世界への裂け目の役割を果たすようにも思える。観光客としてふれる「アイヌ」の背後に豊かに息づくアイヌ民族を感じ、そこに客体としての目しか向けない和人(シャモ)としての日本人という存在を振り返るのに、絶好の映画だと思います。
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