Parry

アイヌモシリのParryのレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
4.0
ここ一番心に沁みたいい映画だった。パンフレットもアイヌ文化の解説と作中の出来事が起こる阿寒湖周辺の地図が載っていて買って良かった。迷ってたら是非劇場へGO!バンドの中学生のアイヌ語入れるとアイヌとしてしか見られなくなるじゃんという会話、観光客相手の職でも、世間に否定されても自分達で民族の神事を行う老人。知恵を次世代に渡し、拒まれても押し付けずに穏やかに待つ大人達が素敵。
題材とアイヌの役者がアイヌの人物を演じる重要さだけじゃなく単純に映画として良い映像も音楽も凛々しく美しいし、テンポも絶妙。特に藤色の空の下で花火に興じる中学生たちのショットは愛らしく、オープニングの洞穴を見つめるカントの眼差しに被さるアイヌの弦楽器の音色のカットはクールすぎた。主人公のアイヌだからと自分の全てを決められるのは嫌だし儀式にも否定的だがアイヌの教えは彼を支える大切な物という地元に持つ混ざった感情の描写が丁寧。
パンフのカント君の言葉「アイヌ文化ではなく、存在としてのアイヌを見て欲しい」が印象的。福永監督は次回作絶対観る監督の1人になった。リアルでは音楽家のカント君は力強い瞳と聡い演技で私の中で実写版アシタカ第一候補に躍り出た
秋辺デボさんは李相日監督の許されざる者にも出てたんだ!芸達者〜
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