Morohashi

青くて痛くて脆いのMorohashiのレビュー・感想・評価

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
3.5
楓と秋好の物語を通じて、幼稚な仕返しの発想によって見ていて辛くなる場面もあった。
要するに、楓は自分と同じように秋好も孤独であってほしかったんだろう。
しかし、思い描いた通りにならない現実に直面すると、彼はそれを排除するために動き始めた。

楓が「自分が絶対に正しい」なんて思えることに驚いた。
でもそれが青さの表れなのかも。
2人ともは人付き合いが苦手ながらも、どこかで自分を理解してくれる人をずっと探し続けていた。

この映画は、自分が認識する自分と、他人から見えている自分が異なることを示している。
人は人との対話を通じて初めて自分が何者なのかを見出すものであり、コミュニケーションを避けることはすなわち自分のことがよくわからないまま、どんどん痛くなっていく。

そして思ったのは「世界」には文字通りの地球規模の世界と、個々人の世界の2つの解釈が存在するのかもしれない。

楓と秋好は、世界の認識がズレているんだとするといろいろと納得がいく。
秋好が「(自分の)世界を変える」ために就活のネットワークを構築することは、納得できる手段。
ただし、どんな集まりにしても、若干の宗教臭も感じられた。

「青くて痛くて脆い」は、青春時代の葛藤や成長を描いた作品であり、人間の脆さと青さを浮き彫りにしている。
物語の結末には思春期の葛藤や価値観の違いについて考えさせられた。
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