このレビューはネタバレを含みます
まさにタイトル通りの物語だった。
私も,自分自身はまだモラトリアム期にいる人間だけど,そんな人間から見ても青くて臭い。でも,結果的には,楓は気づいて成長して,最後にはぶつかっていこうと思える強さを手に入れていたので,羨ましい。
「なりたい自分」,「理想の世界」に向かって,あんなにも真っ直ぐに行動できる秋好が眩しい。みんな心のどこかでは,世界をよくしたいとか人の役に立ちたいって思っているけど,結局何もできていない人が多いと思うから。叙述トリックの効いた作品なので,てっきり秋好は余命宣告でもされていて,病気でこの世を去ってしまっているのかもと思ったけど,楓から見た世界を見せられていたのか。なんだ楓,君,自分から秋好に声かけてんじゃん!!記憶改ざんするなよ。
楓は,人を傷つけてしまわないことを目標にしていて,何だかんだ秋好のことを手伝ってあげるし,優しい良い奴なんだけど,人目が気になり過ぎて,失敗するくらいなら挑戦したくなくて,とにかく傷つくことを恐れている...そんな人が,大切な人から裏切られたと感じた時,狂暴になってしまうんだな...自分にも当てはまるので気を付けなきゃと思う。
私は,秋好がやっていたことは,試行錯誤だと思う。それに対して傍から色々言うのは簡単だけど。楓がモアイの不正をネットに上げて,それが燃えてるところ見てる姿は,社会風刺が効いていて観てて痛くなった。本気になれない人は多分いつまでも満足できないんだと思った。
個人的には,朝井リョウの「何者」って作品を思い出した。
もっと真っ直ぐになりたい今日この頃.....
