PON

青くて痛くて脆いのPONのネタバレレビュー・内容・結末

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

人を傷つけないように生きる。
それはつまり自分も傷つかない生き方。

当たり障りなく、程よく人と距離を取りながら生活する大学生のタバタカエデ。
そんな彼に近づいてきたのが、大勢の前で平気で自分の理想論を語れるちょっと「イタい」女子、アキヨシ。
周りの目も気になるタバタにとって、イタい系女子とつるむことは避けたい。
そんなタバタの想いとは裏腹にアキヨシから、世界を変えるため、なりたい自分になるために秘密結社「モアイ」を作ろうと提案される。
目立つことが嫌なタバタだが、「人の意見を否定しない傷つけない」が人生のテーマであるがため、流れで彼女とサークルを立ち上げることに。

部員数が増えれば増えるほど、本質とは違う方向に向かっていると感じたタバタ。
いつしかモアイやアキヨシと疎遠になる。
そしてそれをアキヨシが自分をモアイから「追い出した」からだと誤認する。
そんなモアイを潰すと決意したタバタは、モアイの決定的な汚点を暴きSNSで暴露し、モアイは窮地に追い込まれる。

モアイの説明会へ訪れたタバタはアキヨシと対面。
何もかもすっかり変わってしまったと思っていたタバタは、 二人でモアイを結成した当時を思い出し再構築したら良いとアキヨシへ提案。
だが変わったのはタバタ自身だった。
お互いに誤解した認識を埋めていく中で露わになる二人の本性。
本当の二人が現れたとき、二人の言葉がそれぞれに暴力を振るう。

人を傷つけたことで自分も傷つき、なりたかった自分とは何かをもう一度考えるタバタ。
自分がやった事を後悔し、なりたい自分へと人生のテーマを変える。


近年の日本はみんなこんな感じなんだろうな。人との距離感を気にして、くっつき過ぎず離れ過ぎず。それはつまり親密になると自分が傷つきやすくなるし、でも離れ過ぎると独りになる。それは嫌だ。それを単純に「人間関係が面倒臭い」で表現しているということ。
それを踏まえて乗り越えてこその人間関係であり、人と関わることの醍醐味であるが。そうはいかない現代社会。

吉沢亮の演技は良かったが、他は正直ふーん(?)という感じ。特にサークルのメンバーは印象に残らない。
内容に集中するならオススメできる作品。
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