アニマル泉

横須賀綺譚のアニマル泉のレビュー・感想・評価

横須賀綺譚(2019年製作の映画)
4.0
トップカットから緊張感ある切り取った長回しでこちらも覚悟したのだが、全編がそうなのではなかった。上映後の大塚信一監督のトークによればトップとラストは編集後にリテイクしたとのこと。歴史的事実をフィクションにするのは難しい。本作はフィリップ・K・ディックの「地図にない町」に触発されて、監督の故郷の長崎の原爆で作ろうとしていたのを、さらに東日本大震災に変えて作ったと説明していたが、はたしてそもそも歴史的事実をベースにする必要があったのかは疑問だ。前半は状況説明が少なくエピソードがぶっきらぼうに重ねられていき、音楽の断続的な使い方など期待が膨らんだが、後半はセリフによる説明になってしまった。ヒロインが下手なのも致命的だ。縦構図で奥から前に進んでくる構図が多用される。冒頭の非モンタージュのつなぎといい挑戦は感じた。次回作に期待したい。
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