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横須賀綺譚のhardeightのレビュー・感想・評価

横須賀綺譚(2019年製作の映画)
4.3
 認知症の老人に金融商品を売ることが物語の出発点であるように、徹頭徹尾、記憶を巡る映画であり、ブラックアウトする画面は震災によって奪われた記憶の欠落を表象し、認知機能の低下した老婦人が書き留めたノートを取り戻そうとする行為は生を取り戻そうとすることでもある。
 震災を事後的に予見しようとする困難な試みに挑んだ野心作であり、横須賀の老人ホームでの生活は不気味なものに触れるような生々しい感触を残しながら、恰も震災前を生きているような不思議な錯覚に襲われ、夢と現実がポジとネガのように反転する!
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