cathy

ミッドサマー ディレクターズカット版のcathyのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「美しいのにとにかく怖い」
「土着信仰、カルト信仰によって人が殺されてく」
ということだけ知ってたので、そもそもスウェーデンの村に行く前からダニーの家族が無理心中したことにびっくりした。
もっとスプラッターな映画かと思ってたので、そこ
まで暴力流血表現はエグくなくて助かった。

前評判を聞いてたので序盤に出てくるすべてが死亡フラグに見えてくる。
サイモンとコニーの婚約はさすがに見えているフラグすぎて笑った。
序盤で「帰りたい」と主張するダニーに「マジでダニーだけでも帰ってくれ」と思ったけどそしたら映画が終わっちゃうので残ることになりますよね…。
でも結局村に残っても帰ろうとしても殺されるなら最初から詰みすぎる。
「生贄を捧げるような異教の文化は絶対外部の人にバレたくないはずなのに、なぜペレは私たちを誘ったの?」というダニーの指摘がすべてすぎた。
荷物を持ってくれたり儀式に参加できたり、村の人から歓迎されてるようなムードなのに衣装は支給されない時点で「外部の人」として区別したいんだろうなと察した。
ダニーだけが踊りに参加するために白の衣装を支給されてた時点で、すでに共同体に参加することを歓迎されてた感がある。
さすがにダニーがかわいそすぎるだろ、と全編通して思ってたので、生存したのはよかったけど最後の笑顔は複雑。
自分が集団に受け入れられて持ち上げられて権力に溺れてしまったとも言えるけど、変なお茶飲まされた効能が続いてて正常な判断能力を失ってると思いたい。
「家族を失ったダニーが新たな「家族」を見つけられた」という意味ではハッピーなのかもしれませんが、娘をカルト宗教に取られたって気分になりました…。
エンドロールでハッピーエンディングみたいなさわやかな音楽が流れるのがこの映画で1番怖い。
パーティーに行くなら自分も行く、旅行に行くなら自分も行く、みんながドラッグをやるなら自分もやる、みんなが村に残るなら自分も村に残る、みんなが踊るなら自分も踊る…といつもダニーはいつも同調圧力に屈している。
その結果が殺人と自我の崩壊だと思うと、人と違う選択をすることを恐れてはいけないという教訓にもなった。

棚ボタで旅行にダニーが参加の意思を示してることがわかり「マジ嬉しい」連呼で参加の圧力をかけ、マヤをけしかけてクリスチャンに浮気させて殺して、メイクイーン誕生時にどさくさに紛れてくちびるにキスして、寝取りに成功してるペレが大勝利すぎる。

友達から地元のお祭りに誘われてこんなことになるとは誰も思わないので、わたしもホルガ村まではほいほい行っちゃって2日目でサイモン・コニーと同じ反応して殺されそう。

【気になったところ】
・ホラー映画の鉄則として単独行動してはいけないのに、迫っている危険に気付かないのでどんどん単独行動する登場人物たち
・性の儀式、この状況でよく勃起できるな、とクリスチャンにびびった。麻薬の効果もあるのかもしれないが…
・明らかになんか意味ありそうな木に小便できるマークの神経わからんwマークもジョシュも自分で死亡フラグ立ててて草。
・スウェーデンに5人で行った履歴は残ってるわけだからどう考えても3人失踪した理由はペレとダニーに聞き取り調査入るし、ぜんぜん施錠しないザルセキュリティを考えると普通に村に捜査さえ入ればこれまでの殺人がぜんぶバレる気はするのだが…。
ホルガ村って警察が介入できない自治区なん?
ダニーも結局いつか殺されちゃうのかな、今後アメリカに一切帰らずにホルガに居続ける、ってビザ的に難しいと思うけど😅
・安楽死させるためにイチイの木を飲ませたのかと思ったのに、普通に焼け死ぬまで意識はあるんかい
・浮気発覚の後にみんなでむせびなくシーン、むしろこっちが出産みたいだ

会話がめちゃくちゃリアルだし、論文を書くから村に残らなきゃいけないという設定がうまい。
テーマがテーマだけに拒否感を示す人が多いようですが、映像美や演出など映画としての完成度が高くて満足しました。
cathy

cathy