みてべいびー

街の灯のみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

街の灯(1931年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

物語は至って単純なのに、ここまで味があって長年愛される作品に仕上がってるのは、チャップリンの映画への熱意が伝わるからなんだろうなぁ。個人的に笑いのピークは、笛みたいなの飲みこんじゃってしゃっくりするたびにピーピー鳴っちゃうところ。かわいい。笑
勝手に結末を想像して、花売りの子がアル中お金持ちとチャップリンを勘違いして恋しちゃって、チャップリンが身を引くみたいな感じなのかと思ってた。でもあのラストの方がなんならずっと切ない。お店に来た若い紳士を見て期待する場面からしても、きっと彼女は自分を助けてくれた人が容姿端麗でお金持ちな若者だと思い込んでいる。一方で彼女のためにお金を工面して服役までしたチャップリンは、無一文でボロボロの服を着た小男。最後はにかみながら「見えるんですね?」と聞くチャップリンと、戸惑いながらも「ええ、見えます」と答える彼女。多分これからも二人の関係が発展することはない。彼は彼女を愛し、彼女も彼を尊敬し感謝するだろうが、恐らく恋人にはなり得ない。彼女の目が治ってしまった今、二人の間には埋められない溝ができてしまったと思う。言ってしまえば、彼女の障害があってこそ対等だった二人の関係に格差が生まれてしまったから。そして彼女が別の誰かと幸せになるのを彼はただ見ているんだろうな、とまたもや悲観的に先行きを想像してしまった。でもそれが彼にとっては幸せなのかもしれない。
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