ピョンちゃん

海を待ちながらのピョンちゃんのレビュー・感想・評価

海を待ちながら(2012年製作の映画)
4.0
バフティヤル・フドイナザーロフ特集上映にて鑑賞。

フドイナザーロフの遺作。大嵐で妻や仲間を失った元船長が今は干上がってしまった海に佇む船を引き摺って無謀な旅に出るお話。今までのフドイナザーロフの作品とは異なり寂寥感が漂っていて強い哀愁を感じました。「どこかに妻がいるはずだ」と取り憑かれたように荒野を彷徨う男の姿にいたたまれない気持ちになりました。舞台となったアラル海は半世紀で10分の1まで干上ったという「20世紀最大の環境破壊」。フドイナザーロフの大地への思い、切なる願いが伝わってくるかのようでした。
今回上映されたフドイナザーロフの5作品はどれも外れがなく、特に『ルナ・パパ』は心の隅にずっと置いておきたい珠玉の作品でした。存命であれば今どんな映画を作ってくれただろうと残念でなりません。
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