みんと

スクールガールズのみんとのレビュー・感想・評価

スクールガールズ(2020年製作の映画)
3.9
謎は謎のまま、淡々と地味な印象だけど、とても味わい深くて余韻が深い作品だった。

1992年、バルセロナオリンピック開催で盛り上がるスペインを舞台に、友人との新たな経験を通じて思春期の扉を開く少女の姿を描いた青春ドラマ。

まだ保守的な価値観が残る時代、しかも修道院と言う特殊な枠の中での少女達の成長は息苦しさに反発する振り幅を感じる。誰もが通る季節と言う意味ではそうそう!そうだった!って頷ける部分も多い。そして心の何処かでチクリと痛みも。

女性監督ならではの視点で丁寧に真っ直ぐに捉え、実態を持たせ瑞々しく描かれた少女たち。ガールズトークは生々しくもあるんだけどなんか可愛い。くるくる変わる表情は眩しい。

主人公セリアは母娘二人暮し。抑圧的な母親に強く反発する一方では体を擦り寄せ甘える姿も見せる。シングルマザーへの周囲の目も厳しく、必死さがわかる分 毒親の一言で片付けられないのがまた辛い。


あのシーンは泣けてしまったなぁ…

母と娘がそれぞれを別の人間として初めて体感し、1歩先の関係へと変化してゆく一瞬を見事に描いた作品でもあると思う。

透明感とあどけなさ、大人でも子供でも無い少女たちの中で一際 原石感を放ってたセリア(アンドレア・ファンドス)が可愛くて仕方なかった。同じスペイン映画で例えるなら『ミツバチのささやき』のアナちゃんがちょっと大きくなったような…
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